ラブもサスペンスもいらない

もっとおふざけしていよう

まともな人間になれそうな本

今週のお題「最近おもしろかった本」

こんにちは、お元気ですか。
テレビで録画している番組と言えば、グレーテルのかまど・365日の献立・100分で名著・金曜ロードショータモリ倶楽部の私です。

音楽は常に新しいアーティストを開拓したい私ですが、本や映画なんかはちょっと寝かしてから読みたいタイプ。
そんな私にぴったりな100分で名著。
出会いましてーはアリストテレスの「ニコマコス倫理学

哲学書でしょ? はい、哲学書です。
でもでもぉー、光文社古典新訳文庫から出ているのでハードルはグンと下げていいと思います。
読もうかなと思った動機は出版元だけでなく、その内容の普遍さであります。
「ニコマコス倫理学」では幸福になるにはどうすればいいのかと言うことについて具体的に・普遍的に述べられています。

皆さんはこういう人になりたいとか、こういう人生を歩みたいとか、こういう夢があるというのがありますでしょうか。
私は黒柳徹子さんみたいに、戦争を体験したり、大好きな学校が焼けてしまうような辛い体験をしても、いつも楽しくて、長生きできて本当によかったと心から言える人になりたいなと思います。
思ってますけど、こういう人になりたい願望と、自分が自分に対して思う苛立ちとか治したいことって繋がってなくて、繋がってないからどうしたらいいのかわからなくてモヤモヤしてました。
そういう時に「ニコマコス倫理学」が取り上げられていて、
・幸福とは一体何か
・幸福になるために必要な徳とはどのようなものか
・人と人の繋がりにおいて大事なことは何か
そういった内容が紹介されていて、これだ!!となりました。

幸い、夫は全く本を読まないし、興味のないことは全く覚えていないので、アリストテレスがどんな人なのか知りませんし、哲学書にどんなことが書いてあるのか全く想像がつきません。
なので、家で読むことに抵抗はありませんでしたが、「なに読んでるの?」という無邪気な質問が飛んできて、「これは哲学書で、私がまともな人間になるために読んでるの。」と真面目な顔で答える事態になってしまいました。でも「そっか」といって、そっとしておいてくれたので感謝。

万年反抗期いや、万年イヤイヤ期であった私はすべてを否定しすぎて何がいいのかよくわからなくなって途方に暮れていました。最近は夫と二人で楽しく暮らしているけど、今後、社会との繋がりを持った時、前も後ろも分からず途方にくれるくらいなら、これからはこの本が正として読んでいき、過ごしていこうと思い読み始めました。

「こういう人がいるけれど、そういう人ってこうだよね?」「こういう時、こうできた方が気分が良いよね?」はい・・・はい、わかります。ごめんなさい、できてません。
自分ってなんて自分勝手に生きていたんだろうと、鋭くないけどアリストテレスの言葉が胸に刺さります。
これをもし身近な友達とか年上の人に言われたら、ちゃんと呑み込めずに反発してイヤイヤ期をやってたと思いますが、相手はアリストテレスです。2000年前には死んでしまって、個人的な関係なんてないんです。なのでどんなに刺さっても憎しみとかは起きません。ただひたすら諭される感じ。
そして日常生活でも「今のアリストテレス的にはこうすべきだったな」とか「この人ってアリストテレス的にはこうだよな」とかアリストテレスが自分の基準に置かれたことで、前より少しいい方向に行動できるようになってきたし、人のことをちゃんとみて、まっすぐな気持ちで接することができてきたような気がします。

この本を1回読んで終わりとなれるほど、自分は容易くいい人間になれるわけではないので、また2回3回と読んでいって、徐々にまともな人間というか後ろめたくない自分になれるように頑張ろうとそう思える本です。

たお

 

P.S.

光文社古典新訳文庫の最後には

いま、息をしている言葉で、もういちど古典を

と書かれています。
そういった姿勢からも読みやすく新たに翻訳されていることがうかがえると思います。
おススメです。